• Yuko Bourgogne Raisindor

ワインの原点はブドウ。信頼のできるそのブドウを造るために。【ベルトラン・デュガ氏】

1月18日のオンライン訪問のその先の質問。造り手からのメッセージを、そのままの言葉でお届けします。


昨冬ドメーヌ・クロード・デュガを皆様と訪問した際、

「あなたのこのワインを実現するために、一番大切にしていること、工夫していることは何ですか?」という愛好家からの質問がありました。


その質問に対し、クロードとベルトラン親子が口を揃えて答えたのが「ブドウ」。


質のかなったブドウさえできれば、醸造ではブドウに全てを託すことができる。自分たちが介入せずとも、自ずと私たちのワインが出来上がっていくのです、というのです。


実際、偉大な生産者に同じ質問を投げかけると、どの生産者に聞いても「ブドウ」という答えが返ってくることが多いのです。

愛好家たちがそれだけでは「分かった」という気持ちにはなれない、そういうちょっとがっかりしたような気持ちも、私にはよく分かります。


「ブドウの力を信じて造る」という言葉は、確かにその通りだと思います。


でもその背後に、年間を通じて、いや年月を重ねて、どれだけの「自分なりの」努力や工夫があるのか計り知れません。そして其処にこそ生産者の独自の考え方や個性、工夫が現れているはずだと思います。


素晴らしいワインを飲んだときに味わう感動と...疑問。

「どうしたらこんなワインを造れるのか。」という未知。

そんな私たちの思いに応えてくれる生産者なりの説明、「ブドウ」という答えの、その先の一歩が知りたいという思いを、生産者に投げかけてみました。


1月18日のオンライン訪問の後日談として、ベルトラン・デュガ氏のお返事を共有いたします。




【ベルトラン・デュガ氏からの回答 2021年3月】


ヴィニュロンの仕事、つまり自らの手で育てたブドウでワインを造っていくという仕事に、

情熱を持って、それを心から好きだと思って臨んでいたら、自ずとどんな状況にも愛(amour)を持って対処するようになります。


大切なブドウが育つための土や環境を汚染してはいけないと思うようになりますし、

ブドウと対話しながら「良い」と思える方向に進めていくようになります。

するとブドウの様子にその答えがちゃんと現れて、全てが上手く回っていくのです。


収穫を決めるタイミングでは、畑を回ってみて、

ブドウが視覚的にも美しく、

食べてみて熟したてのフレッシュな若さと美味しさを感じるとき、

それ以上待ちたくない衝動に駆られます。


歯で噛んでみた時のその張りのある皮の食感と共に、美味しいと思う、

そんな時、今のすばらしさをそのままに、ブドウそのものから

ワインを造りたいと思うのです。

そういった意味では、クロードの時よりも、私の方が収穫は少し早いです。


醸造では、ブドウを信じて、ブドウに任せます。

シャルム・シャンベルタンでも、グリオットでも、どのキュヴェでも同じやり方です。


毎年100%除梗し、低温浸漬もしなければ温度調節もしません。

シンプルそのものです。

発酵が早く進む年は確かに不安も過りますが、それでも、それがブドウが必要としている時間であり、その期間内にちゃんと引き出せているんだ、その年のブドウはそういうブドウなんだと信じて、結局人為的に何も変えません。

自然に任せるようになってから、仕込み期間も、クロードの時代と比べて少し短くなったと思います。(ベルトラン氏が収穫日を決めるようになったのは2008年以降、徐々に補糖を減らし、2013年に完全に補糖をやめました。)


ワインは『生産者のアイデンティティ・カード』(身分証明書)のようなものだと思います。


私たちヴィニュロンの仕事は「愛」を持ってこそ成し得るので、全てがそこ(出来上がったワイン)に現れていると思います。


私たちにはまったく隠していることはないんです。研修生が来ると彼等に一部始終を見せます。すると彼等は隠すことが本当にないことを知って驚きます。


そして私たち自身、知り尽くすことのない未知がまだまだ沢山あるのです。


だからこそ、ブドウ樹に対しても、土に対しても、収穫されたブドウに対しても、その良さを生かすことだけを考えて、愛を持って接しています。

すると自然と良い方向に向かっていく。それを「感じながら」仕事を進めています。

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