• Yuko Bourgogne Raisindor

ムルソーのビオディナミの先駆者【ドメーヌ・ピエール・モレ】オンライン訪問記録

最終更新: 6月28日






ブルゴーニュ・レザンドール主催/VELTRA社協賛の【生産者のオンライン訪問】は、今回で6回目となりました。

初夏といえばムルソー。その白く気高い教会、村の景観の美しさ、それを尊び維持しようという村人たちの意識、そして唯一無二のワイン。グランクリュが無いのにこれだけ有名なのは、ムルソーの村名ワインに歴とした「個性」があり、昔から人気があったから...。


熱気球が青い空を飛び交うこの季節、夕方の凪にムルソーの上空に3~4機浮かんでいることがあります。上空から見たムルソーが「ブルゴーニュ・空の旅」の一つのハイライトであることは容易に想像できます。


『夏のムルソー』の美しさを皆様と共に味わいたい、旅にお誘いしたい、そんな思いが芽生えたのは早春の頃。そのころから着々と準備を進め、今回の本番ZOOMに臨みました。


訪問するのは【ドメーヌ・ピエール・モレ】


オンラインの訪問先を思案する際には色々なポイントがあるのですが、過去のオンラインでご参加者の中に中継に合わせて自らワインを用意され、開けていらっしゃる様子を見て、「ワインが美味しい」ということはとても大切な要素だと思っています。


ドメーヌ・ピエール・モレは、私がフランスに来た当初から大好きな憧れのドメーヌ。ピエール氏とともに現在当主をされているお嬢様のアンヌ・モレ氏にお願いし、ご協力いただけることになりました。



直前まで心配された雨。当日の朝アンヌさんと話し合い、運を天にかけて中継を決行することに。

幸運にも曇り空は雨に発展することなく、プログラムの全てを無事こなすことができました。ご参加くださった方々の良い波動が天に伝わったのかもしれません。


ムルソーのサン・二コラ教会にて、中継開始。

「自己紹介」の部分では、私がフランスに来た頃に体験した、ピエール・モレ氏との思い出をお話ししました。

まるで音楽を楽しんでいるかのように心を揺さぶる試飲順序で、

第一楽章、第二楽章、第三楽章をワインで表現してくださったピエール氏。自分のワインを知り尽くしているからこその、粋な"おもてなし"...。


中継では触れませんでしたが、その感動的な試飲で、コルトン・シャルルマーニュの後に終幕を演じたのは、

「ムルソーPCブシェール 2003年」でした。

『ブシェール』という畑名は、bouche(口)に因んでいて、「口の中をいっぱいに満たす」という意味合いがあるそうです。暑い年の熟成したそのワインは心を一杯に満たし、その日以来、生涯忘れられないワインになりました。


さて、夏といえばサイクリング!

過去にブルゴーニュでご案内したお客様が、ブドウ畑のサイクリングを楽しみにしていらしたことを思い、「現地に足を運べない」今の境遇の中にも、その風や空気を少しでも共有できたらと思い、オリジナル・サイクリング・ガイドを制作してみました。


サイクリングでは映像で2週間前の風景を訪れます。春の霜害の影響で遅れていたブドウの成長は、6月に入ってからスプリントをかけたように一気に伸びています。




そのため、まだ新枝が伸び始めたばかりの小さな背丈のブドウ畑の映像と、中継最後に実際に訪れれる現在の畑との違いを比べてみるのも、今回のオンラインの醍醐味。たった2週間ですが、この時期のブドウの成長は目に見張るものがあり、それが観察できるのは地元ならではの面白さです。


ルートは見どころの写真を入れたオリジナルマップを使ってのご案内。


映像をご覧いただきながら、土壌の特徴、畑名の語源、ワインの個性などについてご説明しました。


時々風に書類を吹き飛ばされそうになりながら(^^;)オンタイムで現地から解説。



ご覧いただいた映像は、要所要所で自転車を下りて撮影したので、実際は3時間くらいかけて収録したものを5~6分に集約。翌日は股間が痛み(年には勝てません、、)趣味のダンス教室でひぃひぃ言っていました(笑)


面白いハプニングもありました。(気が付いたのは私だけでしょうか。)

NHKの【世界の車窓から】をイメージして、列車がムルソーを通過するシーンから始めたのですが、その直後で偶然にも日本の列車の車内アナウンスが入り、旅路の雰囲気がアップ*^o^*ご参加者のどなたかがお勤め帰りにオンラインをお聞きになっていたのでしょうか。お疲れ様でございます。そして有難うございますm(--)m



ムルソーの王道3大プルミエクリュをサイクリングで訪れた後は、地元のレストランをご紹介。ブルゴーニュまで1万kmも足を運ばれる方は、間違いなくワイン愛好家であり『グルメ』の方なのです💛


という事で、中心街に近い3軒のレストランを映像にてご紹介しました。特に教会脇のレストラン・ル・シュヴルイユは、ムルソーで初めて収穫祭が行われた場所でもあります。

そして、ブルターニュの『メール・プラール』のオムレツに対抗するわけではありませんが、ホット・テリーヌで人気を得た『メール・ドジエ』が登場。



二日前にサポート・レザンドールと行ったリハーサルでは全くなかった回線障害が多少ありましたが、ビデオがいっとき解説なしで流れてしまうアクシデントが起こった程度におさまり、プログラム前部を無事終了しました。


いざ、ドメーヌへ移動。その間、広場と教会内を映像にて訪れていただきます。



ドメーヌに到着。


雨になった場合のことを想定して、ピエール・モレ氏のご自宅のテラスを中継場所としてお借りしました。

所有畑とワイン出荷用の蔵がすぐ目の前にあり、古い醸造桶でつくられた趣のあるテーブルが置かれた閑静なテラスです。今日は涼しく過ごしやすいせいか、鳥が絶え間なくさえずっています。



ギャラリーヴューでアンヌさんと皆様がご挨拶。ムルソー17年を開けて楽しんでくださっているカップルのお客様が登場され、アンヌさんも思わず笑顔をこぼします。中継最後に訪れるムルソー『テッソン』の12年を開けてくださっていたお客様もいらっしゃいました。


ビオディナミの先駆者として、多くの苦労や時代の変遷、「なぜビオディナミの道を選んだのか」現在に至るまでのお話、ドメーヌの創始者オギュスト氏からピエール氏へ代が替わり、アンヌさんが父の右腕となり、さらに昨年からご子息のジャン=ヴィクトール氏がドメーヌに参画するまで、写真や年表を入れてご説明しました。




春の霜害の頃から取材していた畑のビデオや、ジャン=ヴィクトール氏の畑仕事の様子もお届けしました。


村名ムルソーの畑で、霜にやられた芽、生き残った芽、どのくらいの被害があったのかをご説明くださるアンヌさん。






土が温まり始めた5月3日の『根の日』に、土中の生命を刺激するためにプレパラシオン500番を撒くジャン=ヴィクトール氏。その効能や準備(プレパラシオン)、活性化(ディナミゼ)の方法まで説明してくださいました。





6月4日、ジャン=ヴィクトール氏のRelevage(新枝をワイヤーの間に寄せて真っすぐに立てていく作業)に取材で合流したときの希少なビデオも投影。雷雨になる前に新枝を守る意味でも、「今すぐにしなければならない」仕事に取り組むジャン=ヴィクトール氏。手を休めずに的確に作業を進めながらも、Relevageの役割やテッソンの土壌の個性、ワインの特徴まで生き生きと語ってくださいました。それを聞きながら思わず「この方が造るワインが美味しくないわけがない」と将来に期待を向けてしまった私でした。

日本語訳はアンヌさんを横に、生中継でビデオに合わせて入れています。


中継最後に訪れるのは『テッソン』の畑。ムルソーで最も景色の良い畑です。


格付けは村名アペラシオンですが、1855年のラヴァル博士のクラス分けでは、『テッソン』はプルミエ・キュヴェ(プルミエクリュ)に属していました。その景観の美しさから、畑の大半は散歩道だったり、東屋が建てられ、本格的にブドウ畑が再現したのは1950年代に入ってからのことだったのです。そのため、高いポテンシャルとは裏腹に、AOCでは村名クラスになっています。



ゴールを目指すサイクリングの動画と共に、私たちは車移動。どちらが早いか競争です!

ギャラリーヴューで実際の移動の様子と平行してサイクリングの風景を楽しまれた方もいらっしゃるかもしれませんねç^o^



テッソンに到着!

目の前の風景を一刻も早く皆様にお見せしたいと気がやはります!




「貴方たちに誰よりも先に2021年のブドウをご覧いただきましょう。」と、アンヌさんが今まさに開花中のブドウの花を見せてくださいました。




その後、質問コーナーでは、ドメーヌ・ピエール・モレの白ワインに合うチーズや、モレ=ブランで2007年まで造っていた『モンラッシェ』のブドウの供給先をこっそり聞いてみたり(結局"ヒミツ"とのことでしたが)、ピエール・モレ氏の愛好家から、同氏が醸造長をされていたドメーヌ・ルフレーヴの2007年以前のヴィンテージの方が何となく好きだというメッセージをお伝えしたりして、アンヌさんもとても喜ばれ、会話は弾みました。


東京でワインを造っていらっしゃる日本のヴィニュロンからも、新たに植えるシャルドネの畑にプレパラシオン500番を実践してみたいとのご感想をいただき、「東京のワイン」に興味をひかれたアンヌさんと意気投合。(お写真の掲載はご本人の許可をいただいております。)




そして、『ムルソー テッソン2018年』を開けてくださり、皆様と乾杯!


畑の中に足をつけているからこそ、目の前にワインのミネラルの原点を見ることができ、畑からじわじわと伝わってくるエネルギーを感じながらのテイスティングでした。


私たちがいただいた2018年は、アンヌさん曰く『クラシックなブルゴーニュ』。

暑い年にも関わらず、縦長の線がぶれないこのミネラルの強さは、表土が薄く母岩に近い、高台の『テッソン』ならではのこと。一方で18年らしい「包容力のある器の大きさ、寛容さや優しさ」が感じられましたが、個人的にはこの先10年は待ちたいところ(笑)このワインの美の行方が知りたいです!


後日いただいたご参加者からのメッセージでは、この日テッソン12年をご自宅で開けていらっしゃり、「黄金色で、ミネラルも豊富だけど、どっしり深い味わいで、久しぶりに感動的な白ワインに出会いました!」との事 (*^o^*) 羨ましい限りです💛



今回もあっと言う間にお別れの時間に...


回線難で七転八倒が続いた重たい悩みもありましたが、前回のヴォーヌ・ロマネからやっと希望の光が見え、結果に生かせる改良の方向性が見えてきたような気がしています。

今回ご参加くださった21名様のうち、20名様がリピーターの方でいらっしゃり、一重に忍耐深く応援してくださった皆様のお蔭でここまで来られたのだと心から感謝しております。


9月に入ったらまた、「食欲の秋」に向けて、思わずワインが飲みたくなってしまう、そんなプログラムを検討中です。その頃はきっとヴィニュロンたちは収穫直前。真剣勝負の「収穫日の判断」について、ヴィニュロンに付き添ってご紹介できたらと思っております。


ご参加くださったお客様、お忙しい中お時間をつくってくださり、またお疲れのところ遅い時間までお付き合いいただき本当にありがとうございました。


いつもご協力いただいているVELTRA社の下記のページにご感想等お寄せいただけましたら大変有難く存じます。皆様のご意見・ご感想を新たなアイディアに繋げて頑張ります!








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